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サンスクリーンに関して

メラニンの研究を専門とする豊福先生による連載コラム。メラニン色素や美白に関する話題を取り上げ、豊福先生が分かりやすく解説してくれます。

夏は終わりましたが、まだまだ日差しは強いですね。この夏も私のクリニックには、サンスクリーンを外用せずに海で日焼けされた方が多くいらっしゃい ました。日焼けはひどくなるとやけどのようになり、発熱することもあります。また、ずっとあとになって、シミ、ソバカス、シワの原因になりますし、高齢に なっては皮膚がんの原因となります。最近はオゾン層の破壊に伴い地表に降り注ぐ紫外線量も増え、注意する必要があります。今回は外用サンスクリーン(日焼 け止め)の話をします。

オゾン層は地表から10~15km上空の成層圏に多くあり、有害な紫外線を吸収し、我々を守っています。しかし、1970年ころからオゾン層の破壊が進 み、1979年を基準とすると、2006年のオゾン量は地球規模で約2.2%減少しています。オゾン層におけるオゾンの量が1%減少すると、地上に降り注 ぐ有害紫外線(UVB)の量は1.5%増えるとされています。そして、オゾンの量が1%減少すると、皮膚がんの発症は2%増加するとされているので、以前 に比べると3%ほど皮膚がんの発生がふえている計算です。

紫外線

紫外線に当たらないようにするのは、皮膚の老化防止で最も重要なことです。紫外線の防御は肌から遠いところからが基本で、日陰、日傘、帽子、衣類(長袖シャツ)、眼鏡・サングラス、外用サンスクリーン(日焼け止め)の順番です。 

サンスクリーンの定義は「紫外線による皮膚の急性および慢性障害を防御するもの」と定義されています。サンスクリーンはこのような定義から、広義には外用 サンスクリーン、内服サンスクリーン、衣類、帽子、日傘、サングラスが含まれます。このうち外用サンスクリーン単独で紫外線防御を行うのは不十分で、長時 間日光にあたらないこと、衣類、日傘、サングラスで物理的に防御することが大事で、そのうえで、外用サンスクリーンを併用することが重要となります。

日本の薬事法では、外用サンスクリーン(以下サンスクリーンといいます)は化粧品に分類されていて、紫外線に対する効能表現として、「日焼け防ぐ」と「日 やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」のみの表示が可能です。2006年の日本香粧品学会では新しい効能として「日常的に使用することで、長期間の紫外線曝露 によって生じるシワやシミ(光老化)を抑える」という表現が提唱されています。

サンスクリーンの成分

サンスクリーンの有効成分には無機系素材(従来は散乱剤とよばれていました)、有機系素材(同吸収剤)とに分類されます。

サンスクリーン剤の有効成分

サンスクリーンの成分表示をみるとわかりますが、無機系素材としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、アルミニウムなどがあります。従来は散乱剤と 呼ばれていましたが、実際は紫外線の吸収作用ももっています。酸化チタンは紫外線の散乱能が高く、よく使われますが、白くなるのが欠点です。最近は白さを 弱めるために微粒子化、超微粒子化された酸化チタンが使用されるようになりました。微粒子酸化チタンはUVAの吸収作用と散乱作用を持つようになり、超微 粒子酸化チタンはUVBの吸収作用を持つようになっています。酸化亜鉛もよく使われます。酸化チタンにくらべ白くなりにくいのが特徴で、微粒子化された酸 化亜鉛はUVA吸収作用をもつようになっています。
有機系素材としてはUVBを吸収する桂皮酸cinnamate系、カンフル系、パラアミノ安息香酸系(p-aminobenzoic acid: PABA)系などがあります。また、UVA吸収剤としてベンゾイルメタン、ベンゾフェノン、Mexoryl SX、 UVA、UVB双方を吸収する、Mexoryl XL、Tinosorb M、Tinosorb Sがあります。

SPF値・PA値

サンスクリーンの外用方法

サンスクリーンが示す、UVB、UVAの防御効果は外用する量が、ある一定の条件のもとで測定されています。この一定の条件であるSPF値とPA分 類のガイドラインでは2mg/cm2(ローションでは2μℓ/ cm2)となっています。この量を顔面の面積に換算するとクリーム剤では0.6gでだいたいパール玉2粒程度になります。また、ローションでは約 0.6mℓでこれは1円玉硬貨2個分に相当します。しかし、この量を実際に顔面に塗ると、かなり白くみえます。実際はそれより薄く使われているので、紫外 線防御機能は低下していることに注意する必要があります。ちなみに塗布量を規定の半分に減らして外用した場合はSPF値は20~50%に低下します。よっ て、白くならない程度に外用することを考慮すると、2-3時間ごとに塗りなおすのが現実的だと思います。

また、サンスクリーンによっては同じSPF値の表記でも皮膚への結合能の違いで実際にSPF値にずれがでます。結合が低いものでは半減期が30分程 度と短く、これでは15~30分おきに塗りなおさねばならず、紫外線防御効果には疑問が残ります。耐水性のサンスクリーンは海、プール等の水浴や激しいス ポーツ、登山等で大量に発汗する状況を想定して作られているはずですが、実際使用してみるとかならずしも高いSPF値のサンスクリーン剤が日焼けを抑制し ないこともあり、耐水性のノウハウには会社によって差異があるようです。このようは耐水性(皮膚結合能)はサンスクリーンには表記されないために、我々は 知ることができません。サンスクリーンの購入の際には、大手化粧品メーカーのものが安全だと思います。1000円程度のあまり安価なものはいかがなものか と思います。

今後のサンスクリーン

オゾン層破壊により紫外線の増加、世界的は皮膚がんの増加、美白のトレンドにより化粧品会社、製薬会社が外用サンスクリーン剤の開発に力をいれてい ます。夏にゴルフや海水浴に行くと疲れでます。また、時に口唇にヘルペスがでることがあります。これらは、紫外線の免疫抑制作用で人体にはきわめて有害で す。今後はこの免疫抑制作用どの程度防止できるかなどを数値化してSPFやPAに加えて表示しようという動きもあります。また、紫外線による遺伝子障害を 回復させる成分を含んだもの、ナノテクノロジーによってサンスクリーン剤の表面に微細な空気の膜を形成して、耐水性を高めたものの研究が進められていま す。

サンスクリーン外用上の注意

  • 目的・スキンタイプ別にサンスクリーンを選択しましょう。
  • 十分な量を塗布しましょう。
  • 2~3時間ごとに塗りなおしましょう。
  • 皮膚炎がおこることがあるので出立たないところで試し塗りをしましょう。
  • 耐水性でも頻回に塗りなおしましょう。
  • 信頼できるメーカーのものを選びましょう。


SPF値・PA値

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