シミ治療part2 -リン酸化ビタミンCイオン導入の美白効果
メラニンの研究を専門とする豊福先生による連載コラム。メラニン色素や美白に関する話題を取り上げ、豊福先生が分かりやすく解説してくれます。
ビタミンCってなんだろう
ビタミンCは強力な抗酸化物質で、ほとんどの動物はビタミンCを体内でつくりだせますが、人間、サル、モルモットはつくり出すことができないために、食事で採らねばなりません。
ビタミンCが私たちの身体に及ぼす最も重要な役割は、コラーゲンの生成と抗酸化作用です。コラーゲンは身体の組織細胞、歯ぐき、血管、骨、歯の成長 とコラーゲンの形成に不可欠です。また、ビタミンCの強力な抗酸化作用は、外界のストレス、紫外線、排気ガス、また通常の呼吸においてさえも発生する体内 の活性酸素を除去して、細胞の老化、発癌を防いでいます。
皮膚への主な作用は、美白作用、抗紫外線作用と抗老化作用です。
ビタミンCの主な作用
- 活性酸素の除去
- 傷、火傷、歯ぐきからの出血をなおす(コラーゲンの形成)
- 手術後の傷の治りを早める
- 血中コレステロール値を下げる
- ウイルスに対する免疫力を高める
- 発癌物質から体を守る
- 体の中の発癌物質(ニトロソアミン)の形成を妨げる
- 自然の緩下剤(便秘薬)にとなる
- 静脈中の血栓ができるのを減らす
- 鉄の吸収を高める
- アレルギーを抑える
- 血圧を下げる
ビタミンCを含む食材

| 食物 | 含有量(㎎) |
|---|---|
| ブロッコリー | 160㎎ |
| ピーマン | 80㎎ |
| カリフラワー | 80㎎ |
| トマト | 20㎎ |
| レモン | 90㎎ |
| 苺 | 80㎎ |
| キウイ | 80㎎ |
| メロン | 40㎎ |
ビタミンCは、レモンなどの柑橘系の果物、イチゴ、ブルーベリーなどのベリー類、緑黄色野菜、トマト、ジャガイモ、ピーマン、メロン、カリフラワーなどに多く含まれます。
サプリメントで摂取するには
ビタミンCは最も知られているサプリメントで、錠剤、カプセル、粉末、ドロップなどありとあらゆる形状のものが市販されています。
カプセルや錠剤では、1粒あたり200-500mgのものをよく見かけます。
ちなみに最も一般的な1日あたりの摂取量は500mgから4,000mg(4g)です。ビタミンCは水溶性なので、身体に蓄積することが難しく、一 度に多く摂取しても、おしっこから身体の外に排出されてしまいます(摂取後2-3時間で排出)。よって、1日2-4回に分けて摂る方が効果的です。
ビタミンEと一緒に
ビタミンCは単独で存在するより、ビタミンEをとも存在することで、より強力に身体のなかで発生する有害な活性酸素を除去します。
ビタミンEは活性酸素を中和したビタミンCを再度働ける状態にします。サプリメントでビタミンCを採る際には、ビタミンEを補うことも忘れないでください。
喫煙で発生する一酸化炭素は大量のビタミンCを壊すので、喫煙者は大量(1,000-4,000mg程度)のビタミンCを数回に分けて摂取することが薦められます。
薬との同時摂取には気をつけて
体内のビタミンCの量は、飲んでいる薬にも左右されます。たとえば、アスピリン(バファリンなど)はビタミンCの排泄を3倍にしますし、ピルは余分なビタミンCを必要とします。
これらを飲んでいる人も、ビタミンCの摂取が薦められます。
花粉症にも有効
今は花粉症の時期ですが、大量のビタミンCは花粉症などのアレルギーの原因となる血中ヒスタミンを減らすことが知られており、多めのビタミンCをとることを薦めています。
シミができるしくみ
皮膚が紫外線にあたった後にメラニンが増えて黒くなるのが日焼けです。日焼けと皮膚の老化は深い関係があります。
紫外線が皮膚の多くを占める角化細胞にあたると、細胞の核の中にあるDNAに多数の傷がつきます。このときに角化細胞はSOS信号として、 α-MSH(アルファ-メラノサイト刺激ホルモン)という物質を作り、細胞周囲に放出し、メラニンをつくる色素細胞(メラノサイト)を刺激します。
また、色素細胞自身が直接紫外線にあたることもメラニン産生刺激になります。
このSOS信号をキャッチした色素細胞はたくさんのメラニンを作って、角質(角化)細胞に渡しますが、角化細胞はそのメラニンをDNAがつまった核の周囲に集めて帽子(メラニンキャップ)をつくり、今後、再度紫外線にさらされる状況から核を守ります。
この過程が日焼けで皮膚が黒くなること(黒化作用)です(実は、もっといろいろな過程があり黒くなるのですが、詳細はまた別のコラムにてご説明します)。
このように大事なDNAが詰まった細胞の核は、メラニンにより紫外線から守られていますし、DNAの傷はすばやく修復されます。しかし、我々の肌は 常に紫外線にさらされているので、天文学的数字のDNAの傷ができます。それと修復する上で、ミスがどうしても発生してしまいます。
修復に失敗したDNAは、その後、角化細胞や色素細胞の遺伝子(DNAの集まり)の変異となっていくのです。これが遺伝子の突然変異です。
遺伝子に変異を起こした角化細胞は色素細胞を刺激する物質をつくり続けるようになり、また色素細胞の遺伝子自身が変化することで過剰なメラニン産生が起こり、これによってシミができるわけです。
話は前に戻りますが、SOS信号として角化細胞がつくるα-MSHは、色素細胞のほかにも、真皮の線維芽細胞に働いて、コラーゲン分解酵素、エラス チン分解酵素をつくって、皮膚のハリを保ち、若々しさに必要なコラーゲン、エラスチンを壊すのです。これによって皮膚のタルミ、シワ、毛穴の開きなどの紫 外線老化が起こります。
ビタミンCは肌の救世主ビタミン!
ビタミンCは、これら紫外線により起こった、日焼け、シミ、皮膚の老化すべての改善に効果があります。
日焼け、シミに関しては、ビタミンCは、過剰なメラニンの産生を抑制します。
メラニンはタイロシン(チロシン)というアミノ酸が原料になり、タイロシネース(チロジナーゼ)という酵素の働きを皮切りに次々と酸化反応が起こり、最期にユーメラニンという、褐色~黒色のメラニンがつくられます。
ビタミンCはメラニン生成でもっとも重要なこのタイロシネースを抑制し、1つ1つの酸化反応を妨害し、メラニンの産生を減らします。都合のよいこと に、ビタミンCは、過剰なメラニンをつくる色素細胞によく働きかけるので、日焼け、シミは薄くなり、正常な皮膚の色が抜けることがないので、肌にとって優 れた美白剤と言えるでしょう。
また、ビタミンCは、紫外線にあたることによる発生するコラーゲン分解酵素やエラスチン分解酵素を抑制して、コラーゲン、エラスチンを守ります。また、線維芽細胞に働いてコラーゲンの産生を促します。これによりタルミ、シワ、毛穴の開きを防止し、改善するのです。

肌に効率よく働きかける、リン酸化ビタミンC
それではビタミンCを大量に飲めば、皮膚のハリが回復したり、ハリを保つことができるのでしょうか?
残念ながら、それは難しいです。
前述したように、ビタミンCには身体に有害な活性酸素を除去する強力な抗酸化作用があります。ところで、身体の中で活性酸素が多く発生するのは、大 量のエネルギーが必要なところですが、それは、休みなく働いている脳と心臓なのです。ビタミンCはこの脳と心臓で大量に消費されます。また、副腎ではスト レスホルモンを作るときにビタミンCが大量に消費されます。
よって、ビタミンCを飲んでも、脳、心臓、副腎で先に消費され、皮膚にはごくわずかしか到達しません。ストレスがあれば、なおさらですね。しかし、 肌には、あまり効果がなくとも、身体のなかの活性酸素対策にはとても重要です。ちなみに、わたしは1日3,000mgを3回に分けて飲んでいます。
それでは直接、ビタミンCを水に溶かして皮膚に塗ればという話になりますが、皮膚の角層は外界の刺激から身体を保護する為、水溶性物質をなかなか通さない構造になっています。 ですからビタミンCを水に溶かして外用してもほとんど浸透しません。
そこで、ビタミンCをリン酸化して、イオン(電気をもった分子)にすると、皮膚に浸透するようになります。
皮膚にはもともと電荷(プラス、 マイナスの電気を帯びている状態)があるので、マイナスの電荷をおびたリン酸化ビタミンCは皮膚の奥深く浸透していくのです。このリン酸化ビタミンCは、 皮膚に浸透していく過程で表皮の中にある酵素によってビタミンCへと変換され効果を発揮します。
さらに、イオントフォレーシス(肌に微弱の電流を流し、肌への有効成分の浸透量を増大させる治療法)や、超音波振動を用いると、単純に肌に塗るのに 比べて、数十倍から数百倍浸透がよくなるといわれています。これらは、自宅で簡単に行えるホームケア用の器具が2-3万円ほどで購入できます。

| 作用 | 適応 | |
|---|---|---|
| 表皮 | タイロシネース(メラニンを造る酵素)の活性抑制 メラニン生成抑制 黒色酸化型メラニンの還元 抗酸化作用による抗紫外線作用 |
炎症後の色素沈着症抑制 日焼止め |
| 真皮 | コラーゲン産生促進 抗酸化作用によるコラーゲン劣化阻止 |
小じわ、皮膚のはり、毛穴の開きの改善 |

リン酸化ビタミンCの適応
リン酸化ビタミンCは、手軽に使えて安全で効果の高い美白剤です。通常は5-7%程度で十分効果があります。
ソバカス、老人性色素斑(日光黒子)などのシミ治療にはレーザー照射が最も効果が高いですが、レーザー照射では、シミの原因になる角化細胞と色素細 胞を熱破壊するので、治療後にシミが消えても一過性の炎症後の色素沈着症が残ることがよくあります、この色素沈着症を消すのにリン酸化ビタミンCが効果が あります。
また、レーザー照射するとかえって悪化する肝斑というシミにも、リン酸化ビタミンCの外用は効果的な治療法です。
また、リン酸化ビタミンCは美白を行いながら、同時に皮膚のハリを改善し、皮膚の紫外線老化防止に役にたちます。これは、美白効果のみのハイドロキノンなどの外用剤と違うところです。
リン酸化ビタミンCのさまざまな効果
リン酸化ビタミンCは、このような効果から以下のようなさまざまな皮膚のトラブルに使われます。
- 日焼け防止;紫外線にあたる前と後に外用すると日焼けとそれによる肌の老化を防止あるいは軽減する効果があります。
これ は、ビタミンCが紫外線により発生する活性酸素を除去し、皮膚のDNA障害を軽くするためです。海水浴、ゴルフなどの野外活動の前に、リン酸化ビタミンC を外用し、それからサンスクリーン(紫外線止め)を塗り、家に帰ってから再度リン酸化ビタミンCを外用すると効果的です。 • ニキビ治療;炎症部位で発生する活性酸素を中和して、ニキビを軽減します。ひどいニキビでは、クレー - ニキビ治療;炎症部 位で発生する活性酸素を中和して、ニキビを軽減します。ひどいニキビでは、クレーター状の陷凹が残りやすくなります。これは、やっかいで、いったん凹むと なかなか治療が難しいものですから、防止が大事ですね。ビタミンCは炎症を軽くし、コラーゲンの産生作用があるので、ひどいニキビからクレーター状の陷凹 ができるのを防止します。
- 熱傷治療;熱傷直後より使用することで、コラーゲンの産生作用と抗炎症作用で、熱傷の跡を目立たなくする作用があります。また、治ったあとの色素沈着症も予防します。
- 毛穴、小じわ、皮膚のハリの改善;コラーゲン産生と、コラーゲン、エラスチンの保護作用で、これら皮膚の老化を改善、防止します。
肌の老化もあきらめないで
毛穴・小じわ・皮膚のハリ等の肌の衰えの原因は、こうした日々さらされている紫外線の影響によることも少なくありません。
あの頃の肌を取り戻したいと感じているようであれば、是非一度私のクリニックに相談にいらして下さい。貴方の肌の悩みは、まだ手遅れではありませんよ。


















